西方裕之 - 歌詞一覧 - 歌詞Tube
お前ひとりを泣かせはしない
あの頃の俺は何も知らずに
夕焼けがやけに目に沁みる
波止場でひろった女の子
誰の残り香あなたの枕
むらさきしぐれの路地裏は
最後の力ふりしぼり
妹よふすま一枚へだてて今
宿の浴衣藍染に触れればたちまち
果てしなき海の彼方に
松本を過ぎると空気が冷たい
波に打たれてさまよう舟は
風の噂にひとり来て湯の香
幾歳月をくぐり抜け
岸に寄せ来る流れ木も波を乗り
人に言えない古傷は生きてりゃ
男なら男なら福沢諭吉の
酒のしずくはおんなの涙
おまえを一人で死なせるものか
はじめて背広を着たその日
無理して飲んじゃいけないと
学がないから手紙は好かん
情どれほど通わせたって
あなたひとりを命ときめて
赤いランプの桟橋おりて
岩手山からのぞめば遥か
去り行く影を追いたいが
蟹を網からむしりとる
やさしい雨の祇園町加茂の
逢えるだけでもうれしい人に
八時丁度に函館駅で
春まだ浅い吉野路を
待っていますと くちびるが
波の谷間に命の花がふたつ
俺は唐津の荒磯育ち
バカな女と 云われてもいい
みどりの川の 赤い橋
くもりガラスを手で拭いてあなた
やるぞみておれ口には出さず
明石海峡さえぎるように
戯れでしたかあの夜は
流れ流れさすらう旅はきょうは
水の流れに花びらをそっと
流れる雲に故郷が見える
弱音をはいたらだめですよ
下駄がからころ 後追うように
意見 説教聞く耳もたぬ そう言う
すゝり泣く雨に街も濡れている
水にきらめくかがり火は誰に
雲は流れる流れる雲が
ひと声ないては旅から旅へ
涙の終りのひと滴
男はつよがり淋しい時ほど
はるばるきたぜ函館へ
教えてください身の振り方を
破れ単衣に三味線だけば
石より痛い噂の礫逃れて
貴方を迎える蛇の目の傘を
流れる雲が はこんで来たよ
駅を降りたら潮風が迎えて
親にもらったヨ名前もあるに
桜の花のような小雪が
冬の寒さがまだ残る奥の細道
一生いちどの夢をみて
ここでいっしょに死ねたらいいと
路地のこぼれ灯 拾っても
京都にいるときゃ
積るそばからはかなく消える
世の中いつでもお世話様人間
やさしさとかいしょのなさが
宿の蛇の目傘に身をよせあって
送る背中がつらいから
川の瀬音か降る雨か
悲しさまぎらすこの酒を誰が