伍代夏子 - 歌詞一覧 - 歌詞Tube
恋には印紙もはんこもいらぬ
この恋は一生一度の恋なのに
雨がふる日はこころが濡れて
雨がとりもつ縁かしらそれとも
三味の音みたいな木枯らしが
軒先を叩いて降る雨が
四角四面の世間と言うが
結んでください二人の糸を
指が反るほど抱きしめられて
夢と苦労のやりくりでやっと明日が
江ノ電降りたら日暮れ坂
お江戸名物チョチョイノチョイチョイ
人がら実ちょく初婚というし
出雲大社へ旅をして
愛想笑いで世渡りできりゃ
仮寝の宿を捜し飛ぶ鳥が
幸せさえぎる冷めたい雨に
船のあかりや灯台の港夜景が
人をだましたこともない
小雨に打たれて咲く時を知る
今朝はお立ちか風待ち湊
川の流れを朱に染める
忘れてしまえと風が啼く
銀杏の並木に傘の花が咲く
山背が吠えて海鳴り
しょせん女は裏方さんや
路地にこぼれる金木犀の
あれは七月蝉しぐれ
日暮れまじかの駅裏通り
生まれたばかりの嬰児は
浮くも沈むも運命のままに
川の瀬音が耳元で
初めてあなたと旅したときの
黄昏に染まった信濃の川は
人目にふれる花よりも
川面に映る茜の空が
風に風に群れ飛ぶ鴎波が牙むく
やさしい言葉の数よりも
つるべ落しの一筆に
三味線の太悼響くよに
月を映した湯舟に
傘に隠れてふく涙
雨降るオランダ坂に
髪が乱れる裳裾が濡れる
かたちばかりの三三九度と
連絡船からふらりと下りて
指をまるめて覗いてみても
幸せになってねと夢のまにまに
あなたと肩を並べて飲んだ
心のなかで死なせた恋を
ひとりは冷たいこの世でも
ひとりでは漕げない沖も見えない
人という字に
愛のささやき聞くときの
交わす目と目のひと目惚れ
殿方の人はいいですね
惚れた男は気ままな夜風
別ればなしがいつ出ても
燃える西陽を浴びながら
指を咬んで声しのばせて
指でおくれ毛撫でつけて
秘めやかに密やかに
胸におさめたはずなのに
涙みせたらあなたが困る
右に石狩左に小樽
遠く野末に夜汽車の
春がくるのを待ちきれず咲いて
凍る根雪のその下で私の倖せ
赤いレンガの倉庫が並ぶ
提灯の紅あかり浮きたつ桜に
途に倒れてだれかの名を
風にその身を震わせながら